こんな症状はありませんか
- 毛が抜ける
- 皮膚が赤い
- 手足をなめる
- 体を掻いている
- 皮膚、毛がベタベタする
- フケが多い
上記の症状に心当たりがある場合は、愛犬、愛猫が皮膚疾患にかかっている可能性があります。
皮膚科の病気について
●ワンちゃんで多い皮膚病
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アレルギー性疾患
犬種にもよりますが、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の罹患率は非常に高く、皮膚の病気で来院するワンちゃんの約半数は何らかのアレルギーを持っています。
フレンチブルドッグやボストンテリア、柴犬などの日本系の犬種、マルチーズやシーズーなどの小型犬でよくみられます。
症状は体を掻く・なめる、皮膚が赤くなる、毛が抜けるなどです。
ひどい子は夜眠れないくらい痒みがひどく、出血するまで皮膚を噛んだり、なめたりする子もいます。
二次的に細菌やマラセチアに感染し(膿皮症など)、症状がひどくなることもあります。体質が関係しているので、生涯にわたる治療が必要なケースがほとんどです。
治療は食事療法や薬物療法などです。 -
脂漏症
脂漏症は皮脂の分泌以上によっておこる皮膚科疾患です。
皮膚の角化異常も伴い、皮膚バリア機能が失われ、皮膚が厚く硬くなります。
特に皮脂の過剰分泌によって起こりますが、皮脂がの分泌が少ない病気もあります。
分泌が多い油性脂漏症の場合はベタベタの脂っぽい肌になり、乾性脂漏症の場合は皮膚が乾燥し乾いたフケがでます。
遺伝的に発生するもの(ウェストハイランドホワイトテリア、シーズー、ダックスなど)と、細菌感染(膿皮症)や内分泌疾患などと関連する後天的に発生するものがあります。
治療にはシャンプー療法が欠かせません。 -
外耳炎
外耳道も皮膚の一部なので、皮膚が弱い子は外耳炎にもなりやすいです。
体幹や手足の皮膚と違い、なかなか直接見ることが出来ないので、投薬によって症状が改善すると、治療を途中で止めてしまうことが多く、慢性化しやすい病気です。
コッカースパニエルやラブラドールレトリーバーなどのたれ耳の子や、ウェストハイランドホワイトテリアなど遺伝的に皮膚が弱い子に多く見られます。 -
非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎
ネコちゃんのアレルギー性皮膚疾患はノミ性、食物性、その他に大別されます。
ノミや食物アレルギー以外が原因で起こるアレルギー性皮膚疾患を非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎と呼びます。
原因は不明なことが多いですが、アトピー性皮膚炎と似ています。耳や目の上、お腹や内またに赤いポツポツが出来ることが多く、しきりになめるようになります。
ネコちゃんは元々グルーミングをよくする動物なので、痒みの症状に気付くのが遅れることもあります。
口の届く範囲の毛をすべて舐めて抜いてしまう子もいます。
アレルギー性皮膚疾患には消化器症状を伴うこともよくあります。 -
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌が皮膚に感染して起こる皮膚疾患です。
免疫力の低い子猫や老猫に多く見られます。
ほかの病気で免疫力が低下している子も感染しやすくなります。
人にも感染する人獣共通感染症なので、お子様や高齢の方は要注意です。
軽くつまんだだけでまとめて毛が抜けます。
初期にはほとんど痒みがなく、細菌が感染して膿皮症が併発すると痒みがひどくなります。
円形に脱毛し、皮膚が赤くなるのでリングワームと呼ばれることもあります。
●ネコちゃんで多い皮膚病
当院の皮膚科疾患の治療
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診断
ほとんどの皮膚科の疾患は、痒みなどを伴い特徴的な症状はあまりありません。
また、アレルギー疾患のみ、寄生虫疾患のみというようなことは少なく、複数の原因が併発していることがほとんどです。
そのため、まずは年齢や種類などの問診と検査を行い総合的に判断していきます。 -
問診
犬種や猫種、年齢や生活環境など、その子その子のおかれている状況でなりやすい疾患、なりにくい疾患があるので、まずは慎重に問診を行います。
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検査
皮膚に細菌や真菌、寄生虫などがいないか検査を行います。
皮膚の一部や被毛を顕微鏡で観察し、病原体の有無を確認します。
皮膚の状態や症状で必要な検査を行います。ホルモン異常などの内分泌疾患で皮膚の症状が出ることもあるので、血液検査を行うこともあります。
また、すべての原因が確定するわけではありませんが、血液検査でアレルギーの原因(アレルゲン)がわかることもあります。
通常の検査・治療では改善しない場合は、麻酔下で皮膚を小さく切り取り病理組織検査を行うこともあります。 -
薬物療法
大きく分けて内服治療と外用治療があります。
内服薬は、症状・疾患に合わせて、抗生物質、抗ヒスタミン剤、免疫調整剤、ステロイド剤などを選択・併用します。
外用薬はワンちゃん、ネコちゃんによっては舐め取ってしまったり、毛が多くて使えなかったりしますが、とても有効な治療法です。年齢や疾患によってはメインの治療法になることもあります。 -
シャンプー療法
シャンプー療法も多くの皮膚疾患で有効な治療方法です。
動物の皮膚は人よりも薄く繊細なため、人のシャンプーのようにごしごし洗わず、洗顔のようにやさしく行います。
疾患に合わせて、いろいろなシャンプー剤の中から適切なものを選択します。 -
食事療法
食事アレルギーでは食事療法は必須の治療法です。
また、アレルギー以外の場合も、皮膚炎を抑える成分や、皮膚、被毛の栄養となる成分が含まれているため、どの皮膚科疾患にも有効な治療法です。 -
サプリメント
皮膚炎を抑えたり、皮膚、被毛に栄養を与えるためにサプリメントを使うことが出来ます。
サプリメントを使うことで、内服薬の量を減らせたり、食事やサプリメントだけで皮膚炎が管理できる場合もあります。
●診断
●治療
当院の皮膚科治療の流れ
当院ではしっかりと問診と身体検査を行い、飼い主様の不安と疑問が解消できてからの処置となります。
少しでも不安や疑問がある場合は何でも聞いて下さい。解決できるまで何度でも説明します!
1 初めての来院時
まずは問診
皮膚科疾患は、犬種・猫種、年齢や生活環境によって、なりやすい病気があります。
皮膚科以外の疾患で皮膚症状が出ることもあるので、その可能性も考えていきます。
2 検査
問診により、疾患にあたりを付け、必要な検査を行います。
毛穴に住み着く寄生虫や真菌、細菌などがいないか顕微鏡で確認します。
毛を抜いて毛根の状態を見ることもあります。内分泌疾患などによる脱毛などもあるので、血液検査を行うこともあります。アレルギーの検査も血液検査でできます。
3 治療
検査によって診断が付くと治療に移ります。
疾患の種類によって、内服薬や外用薬、シャンプー療法、食事療法などを選んで行います。
疾患によっては、複数の治療法を合わせて行います。
4 治療終了
皮膚科疾患の中には、完治はなく、生涯継続して治療が必要なものもあります。
投薬が必要なくても、継続治療は欠かせません。
食事やサプリメントだけで管理できる場合もあります。